Fender Deluxe

ユニゾン・テクノロジーとFender Deluxe

Universal AudioのApolloシリーズの特徴のひとつとしてUnison Preampsという技術があります。これは、インピーダンス、ゲインステージの「スイートスポット」、そしてコンポーネントレベルの回路動作をキャプチャすることによって、そのプリアンプが持つ微妙なトーンやフィールを再現しようとするものです。

多くは、スタジオでよく使われるNeveやSSLといったマイクプリアンプのエミュレーションに使われていますが、同じ技術がギターアンプにも応用されています。ジェフベックを始め、ストラト使いの多くはボリュームポッドを巧みに操作して表情を豊かに表現します。ギブソン使いも、B.B.KingやSantana、最近だとDerek Trucksも、そのビデオをよく見ると頻繁にボリュームを操作しています。ギター側のボリューム操作による音色変化や、他のギターに替えた時の音色変化は単に音量だけでなく、実は微妙なインピーダンスの変化も同時に発生しており、アンプ動作がそれに追従してくれることで「本物らしい操作感」が生まれてきます。

Apolloシリーズで、このUnison Preampsを使うには、Consoleアプリで専用に設けられた場所にプラグインを置きます。他のプラグインと異なり「初段の入力に直結した1つだけ」となるので、所謂「掛け取り」方式の録音のみに対応します。生音で録音して、後からアンプの調整や交換ができないデメリットはありますが、そんなことを忘れさせてくれるリアルな音と操作感を得られます。

そのテクノロジーを存分に使ったFender 55 Tweed Deluxeは、オリジナルの5E8回路を使った2台の実機をキャプチャーした結果を元に作られています。実機同様にギターとマイクのボリュームとトーンの3つしかツマミはありませんが、そこから出てくる音色はUnison Preampsの威力もあって本当に変幻自在です。Marshall同様の4つのインプット使い分け、オリジナルのJensenスピーカーに加え、JBL D120、Celestion G12と当時の代表的スピーカー3種、2箇所/2方向/5種類のマイクの調整で、ツィード期からシルバーパネル期を思わせる音色までを作ることが可能です。Marshall風のリンクではなく、当時も行われていた「Y字ケーブル」を使ったマルチ駆動も再現されています。

Unison Preamps使用時は、レベル表示のLEDがオレンジ色に変わるので、見た目的にも判りやすい上、Apollo TwinのPREANPボタンで入力、MONITORボタンで出力レベルを操作できるため、曲にとって最適な音色を決めるための音量調節も非常に直感的に操作でき、録音だけでなく練習用アンプとして使っても快適です。

で、Marshall、Fenderと揃っても場所制約が無いアンプシュミレータ。
これで満足しないのが物欲ギタリストの性です。こんどは、シルキーな歪を求めてDumble系アンプも買ってみました。
次回は、Fuchs Overdrive 50です。