SHARCプロセッサーとFuchs Overdrive 50

SHARCプロセッサーとか、Anlog Devicesと言ってもギタリストだと、多くはご存じない製品/メーカーだと思います。しかし、LINE6のM6やStrymonのFrint、最近の製品だとHotoneのAmperoやMooerのGE300などに共通して採用されているDSP製品で、Apolloシリーズのアンプ製品群の実装もこのプロセッサーが使われています。このDSP、実はギター関連機材だけでなく自動車からエネルギー分野まで、非常に幅広く使われている汎用DSPで開発ツールも豊富に用意されています。

高性能だけに単体価格もそれなりで、搭載製品もまあまあ価格になっていますが、各社が揃って同じチップを使用する理由はやはり高速さに起因する音質の良さと開発の容易さだと思います。Apolloの場合、アンプ・プラグインは3つ(以上)の会社が提供しているようです。Marshall JTM Classicはスウェーデンを本社にするSoftube社Fender Deluxeは、Universal Audio自身。そして、今回紹介するFuchs Overdriveは、Brainworxというプラグインメーカーが作っています。同社は、他SuhrやDiezelと中々マニアックなアンプの製品群を数多く発売しています。

Fuchs Overdrive 50は、操作パネルを見て「ピン」と来る方も多いと思いますが、所謂Dumbleクローン・アンプの一つです。MarshallやFenderのギラギラ感が少し抑えられ、クリーンもオーバードライブチャネルも、クリスタルでシルキーな音という表現が近い感じの音かなと思います。もちろん、私はDumbleの音なんて聞いたことありませんので、この動画を参考に色々試したところ、80年代のモデルに近い感じでした。ロックよりジャズやフュージョン系で、2チャンネルあるのでクリーンからディストーションまで幅広い音作りが可能です。私的にはカールトンのプリセットが一番のお気に入りかもです。

また、このアンプは一体化されたノイズゲートやコンプ・ディレイまで付いており、特にコンプは音作りで良い働きをしてくれるようです。スピーカーキャビネットとマイクも色々選択できるので、コントロール可能な設定項目は3つのアンプの中では一番多彩です。

もちろん、アンプ入力前にエフェクターを繋ぐのは実アンプと変わりません。単純にエフェクターを途中で噛ませてApolloの入力端子に入れるだけです。
Unison Preampsセクションにプラグインのエフェクターを入れることもできるようですが、私の場合は実機のRATと入れた場合とRATプラグインをUnison Preampsに入れてその後段でアンププラグインを挟んだ場合は、前者が気持ちよかったです。やっぱりつまるところは「本物」が一番かもしれませんね。

と、いうところで今回の連載もお後がよろしいようで。