ギターらしい音を遅れなく録る

多くの人がそうだと思っていますが、私は「周りの音を聴きながら/自分の演奏を聴く」スタイルでないとギターが弾けません。
前回、パソコン/タブレット内のレイテンシについてお話しましたが、音の発生源から出口までの経路で発生するレイテンシ対策も重要です。その経路を示した図を下に示します。
録音経路
前回は図でいうと、右側のピンクの部分の高速化を図ったのですが、アプリ付属のギターアンプシュミレータ経由の音は矢印を複雑に経由して音を聴くのでレイテンシを大きく感じるかもしれません。最近のオーデイオインターフェースでは「DSP内蔵」を謳う製品が数多くありますが、その場合は図の左側の「DSP」という部分で「入力音声(ギターの音)」を、伴奏再生とミキシングできる機能がついています。アプリの録音音声をゼロにして、インターフェースの入力音量を調整することでギター音のモニターが遅れることはほぼ無くなります。

ところが、このやり方だとアプリで歪ませたアンプ音が聴き取れなくなってしまいます。これを解決するには、以下の何れかのやり方となります。
1.アンプとマイクを使ってスタジオ録音する
2.音加工せずに生音で録音する
3.Kemper等のアンプ機能を持つインターフェースから録音
4.エフェクターで歪ませ録音、後からアプリで微調整

「1」は元のオケを聴く環境も考えると、上級者向けで難易度高めです。「2」はジャズやベンチャーズなど歪の重要度が低い場合は作業できなくはありません(私の過去作品もコレ)。KemperやHelix等をお持ちなら「3」が一番理想的な録音方法だと思います(私が今使っている「UA Apollo」もコレ)。とはいえ、安直にライブでいつも使っている歪エフェクターをかまして録る「4」も現実的な録音方法かと思います。

録音できたギターの音は、アンプシュミレータや空間系のエフェクト処理で微調整が可能です。デジタルものの良さで、製品にもよりますがアンプだけでなくスピーカーやマイク、さらにはマイクの位置なども調整でき、その設定を記録して次回以降で再利用できるものもあります。この辺りはデジタルの圧勝分野ですね。

そうして、レイテンシ対策もできるようになっても、やはり「2.機械音と一緒に演奏することに慣れていない」への抵抗感は残ります。
次回は、それを軽減する幾つかのアイデアについてです。
題して「ヒューマンなノリを出す