波形

ギターがモタモタ聴こえる

デジタル伴奏は、味気ないだけでなくテンポも容赦してくれないので中々大変です。演奏している時は「慌ただしかった」のに録音を聴くと「モタモタしてる」というケース無かったですか? この犯人「レイテンシー」は音声をデジタル処理すると必ず出てくる魔物です。zoomやSkypeで感じる「遅れ」と根っこは同じようなものです。

私は「音楽録音のデジタル処理」をパソコン(やスマホ)レベルで行うには「超えるべきハードルは未だ色々ある」と考えています。専用に設計されたマルチエフェクターやワイヤレス装置だと、最近は改善されてきて気にならない人も増えてきましたが….

そこで、モタモタを感じている人は、今現在の「モタり加減」を測定しましょう。今の録音環境でドラムかクリック音で4部音符を鳴らして、それに合わせてギター・カッティングを録音してみます。そして、録音された波形と小節の割り振りを下のように細かく見てみます。実際に私のパソコンでテストしてみた結果がこの図となります。
録音波形の比較
何も調整せずに録音を重ねていくと、1拍の20%位も遅れて録音されていることが判ります。これでは「モタモタ演奏」になるのも当然です。まぁ、私のパソコンは2013年型なので今どき遅いのですが。

この遅れ「レイテンシ」を改善する取り組みは昔から色々あり、現在のApple製品はiPhone/iPadもMacも標準で「Core Audio」が、WindowsではCubaseで有名なSteinberg社が作った「ASIOドライバ」等を用いて「録音時のレイテンシの軽減」を図っています。Androidは残念ながら、未だ有効な実装がなくアプリもありません。またGaragebandでは、細かな設定が無いので「事前再起動」位しかその対策がありません。パソコンでは「他のアプリが色々動いてる」「同時に再生する音数が多い」「録音音声の品質が高すぎる」の改善策が考えられます。少し特殊なものに「バッファサイズ」の調整もあります。バッファが何者かはこの動画をご覧ください。
もちろん高速なパソコンにすれば遅延は多少改善されますが、それでも多くの場合遅れを無くすことはできません。録音スタジオなどでは、専用の機器を使ってレイテンシを極小化しているので遅れが気になりませんが、おウチ録音では無理。
自前で何とかするしかありません。納得いくまで「Try and Error」を繰り返してがんばりましょう。

また、レイテンシの発生はそこだけに留まりません。パソコン側のレイテンシは改善できてもギターから、スピーカー(ヘッドフォン)までの経路で発生するレイテンシにも気をつけなければなりません。
で、次回は「ギターらしい音を遅れなく録る」についてです。