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(続)IRELって何:第4回:iRealの伴奏パターンを活かす

楽器を演奏する人の大多数かと思いますが、ベンチャーズのようにソロ楽器が1つしかないインストバンドを除いて、多くの楽器奏者は演奏時間の大半をバッキングに費やしています。またロックでもラテンでも様々なリズムのパターンがあって、例えば私の場合「ボサノバでお願い」とか言われてもスグにはなかなかサマになりません。そんな時の強い味方になってくれるのが「iRealのスタイル」機能なんです。

例えば、ビートルズの曲を選んでボサノバ風に演奏する時でも、スタイルを変えれば瞬時に演奏してくれます。そこをヒントに「もう少しテンションコを工夫して」とか「ここでリフを」とかアイデアは膨らんで来ると思います。ただ、その前に「何故ボサノバ風に聴こえるか」を五線譜にして全体を見れば構成音や経過音、そしてリズムのパターンまでもが簡単に確認できます。また、繰り返し回数を入れておくと、2回目以降は伴奏パターンが微妙に変化するので、そこにも新しいヒントが隠れているかもしれません。

とりわけギタリストは、コード名を提示されても「フォーム」で覚えてしまっていることも多く、指が追いつかないクローズド・ハーモニーはそもそも発想の範囲外という人が多いと思っています(その典型が私)。ジャズ・ピアノをベースにしているiRealのコード伴奏は、この弱点を補ってくれるありがたい存在です。他には、ギター伴奏時のちょっとした「味」に、トップノートの流れや経過音の使い方を真似てみるのも良いかと思います。

とはいえ残念ながら、iRealそのものには五線譜出力の機能がありませんが、何かDAWをお持ちですとiRealをMIDI出力して、それをDAWに取り込んで五線譜で印刷することで実現できます。iRealでは伴奏楽器をピアノだけでなく、ギターやオルガンなど色々変えられるので、自分の楽器の場合に近づけるとより感じが掴めます。もちろんベースのリズムや音使いも同様に参考になるかと思われますし、アレンジして他の人に演奏して頂く際にも、譜面書き起こしの手間を大幅に節約できます。

DAWに伴奏を取り込む方法は、本編の最終回で説明していますので、お持ちのDAWによって手順は多少違うかもしれませんが、ご参考になれば幸いです。

(続)IRELって何:第3回:iReal以外の譜面系アプリ

音楽を書き記すやり方は、古くから様々な取り組みがありましたが、今日では書かれたものから音に変換できる技術も発達し、選択肢がどんどん広まってきています。iReal以外にも譜面系アプリを探そうとしても「多すぎて、どれから…」ですよね。パターン別に例を上げれば、
1.歌詞にコードを付ける:ChordPro系アプリ
2.やっぱり五線譜をつかう:専用ソフトの他いろいろ
3.ギタータブ譜をつかう:これまたいろいろ
もちろん、他にもあるかと思います。「これもあるよ」というものがあれば「お問い合わせ」からでもお知らせ頂けると幸いです。

ではまず、「歌詞にコードを付ける」からご紹介します。
「ギター弾き語り」では必須の譜面(?)ですね。昔は、「19XX年版 ヒット歌謡 XXXX曲」みたいなタイトルの分厚いコード付き歌詞本を買っていましたが、今では多くの人がネット検索していますね。この書式を標準化したのが「ChordPro」で、テキストのみで書けるので「メモ帳」などで簡単に編集できます。実は、きちんとした団体がその書式を決めて公開もしているので、対応するアプリやWebサイトも沢山あります。
https://www.chordpro.org/

私は、以下のアプリを使っています。他にも色々とアプリがありますので「ChordPro」をキーワードで探しましょう!
OnSong

Chordbase
Google Play で手に入れよう

そして、「五線譜を使う」です。
私は普段パソコンの「Logic」というDAWソフトから五線譜を出力しています。初歩的な五線譜だとこれでも良いのですが、「スタッカート」などはMIDIだと「音符と休符」となり別の意味になってしまいます。他に、「テヌート」、「クレッシェンド」などもMIDIでは表現できません。今日では「MusicXML」という規格ができ、その取り込み機能が備わるようになってきました。それらにも対応できる五線譜作成ソフトは、例えば下記があると思います。いずれもパソコンのソフトとなります。
有償だと:Finale
無償だと:MuseScore

最後に、ギタータブ譜です。
これは、五線譜程ルールが難しくないのでMIDIから作成するレベルで十分なことが多いと思います。ただ、私は普段タブ譜を使うことが無いので、あまり詳しくはありません。こんなサイトなどをネットで探してみましょう。

五線譜に話は戻りますが、私が使う意味には他にもあります。実はiRealの自動演奏を五線譜で出力すると中々勉強になるんです。次回は、その辺りをもう少し詳しくお話します。

(続)IRELって何:第2回:フォーラムで交流

iRealフォーラムは、一般的なSNSや他のネット・フォーラムと同様に、メールアドレスやパスワードを登録することで簡単に誰でもメンバーになれます。フォーラムから曲を探したりダウンロードするだけなら、ユーザー登録無しに使えますが、以下の機能を使うにはユーザー登録が必要です。
・自分が作ったコード譜を掲載する
・自分が使いたい曲をリクエストする
・他の人のコード譜や投稿にコメントする

ユーザー登録は、フォーラムの画面にある「Login」メニューから、「Register」を選ぶことでできます。適当なユーザー名を決めて、メールアドレスやパスワード等を入力するとユーザー登録が完了します。ログオンした状態で、例えば「Pop, Rock & Blues」など何処かのカテゴリに入ると「Post New Thread」という投稿可能なボタンが出てきます。また、何処かのスレッドに入ると「Post New Reply」というボタンからコメントを書くことができるようになります。フォーラムは日本語を含む色んな言語で入力も可能なようですが、多くの人に文字化け無く見て頂けるように英語で記載する方が良いと思います。コメントや曲のリクエストであれば、他の人達の書き方を参考にすれば中学英語に毛が生えた程度のレベルの私でも何とかこなせています。

次に、曲をアップロードする機能について記載します。iRealって何:第5回で少し説明しましたが、iRealはコード譜の共有方法として「http://」ではなく「irealb://」というURLを使ったファイル形式となっています。コード名などは記号化されており目での判読は困難なものですが、iRealの「共有」ボタンから「コード譜を共有する」を選ぶと「フォーラム」というメニューが出てくるので、これを選ぶことでフォーラム投稿に貼り付けることが可能となります。「Jazz 1,300」のようにまとめて掲載したい時は、自分のiRealでプレイリストを作っておいてそこから同様に「コード譜を共有する」を選ぶ手順で投稿可能です。

なお、フォーラム投稿画面は文字のフォントや色を選んだり、Youtube等にリンクを貼ったりすることも可能で、ほぼ普通のSNSと同等のことができます。また、他のSNSと同様に友達やグループを作る等、いろいろな交流機能もあるようです。私は、自分のホームページを入れる程度の最小限の設定しかしていませんが…ちなみに、私が1つだけ立てているスレッドはこちらです。

そして、自分で作ったスレッドは、これまで何回アクセスされたかも表示されますし、運が良ければ他の人からコメントも頂け励みになります。フォーラムの楽しさですね。
では、この辺りでiRealフォーラムについては一段落として、他の譜面作成系アプリについても簡単にご紹介したいと思います。

(続)IRELって何:第1回:iRealフォーラムとは

iRealを実際に使われている方は既にご存知ですが、アプリをインストールして最初に「Jazz 1,300」とかを入れる画面。あれが「iRealフォーラム」です。JazzやPopsのコード譜をダウンロードする機能の他に、フォーラムという名の通り世界中のiRealファンが好きな曲を作ったり、リクエストしたりして交流しているサイトです。
サイトへの行き方は、iRealアプリの何処かに表示されている地球マークが目印。iOSやAndroid等アプリ版のiRealではアプリの中で表示されますが、中身は普通のWebサイトなのでパソコンでも下記のURLから入ることができます。
https://irealb.com/forums/

フォーラムは、大きく6つのカテゴリに分けられており、虫メガネマークから曲名で検索することもできます。全部英語なのが難儀ですが、ここは目を瞑って例えば検索語を入れてみましょう。
「sunshine」と入力すれば「The Beatles」の「Good Day Sunshine」など随分たくさんの曲が、そして「sunshine of youre love」まで入力すると「Cream」の名曲のエントリーが幾つか見つかります。その中から、自分に合ったコード譜が入手できる仕組みです。もちろん「Pop, Rock & Blues」などのカテゴリから「何か無いかな〜」と眺めて行くと判ってきますが、同じ曲でも解釈の違いによって微妙に異なるコード譜も存在しているため、ここには数千曲どころか万単位のコード譜が収録されています。

アップロードされている曲のパターンは、最初に入れた「Jazz 1,300」などと同じように「まとめてXX曲」というやり方と、1曲ずつというのと2つのパターンがあり、前者ではダウンロードすると自動的に自分のiRealでも同名のフォルダができてそこに収録されるようになっています。

では、どんな人達がこれらの曲を提供しているのでしょうか? 実は、あなた自身もフォーラムにユーザー登録すると、その一人になれるのです。次回は、ユーザー登録から自分が作ったコード譜を発信する手順などについてご紹介します。

(続)iRealって何:はじめに

1年ほど前に連載していたコード譜アプリ連載「iRealって何」。

書き終えた当時はいろいろと思いもあり、一部読者の方からも続編リクエストを頂いたことがあったのですが、その後は演奏動画を作ったり、諸々のお手伝いがあったりして月日が経ってしまいました。最近いろんな活動が一区切りついてきて、久々に「続きを書こうかな?」という気持ちに。とはいえ、こうした音楽系のツールはこと細かな部分が意外と大事なことも多く、ついついマニアックな深みに嵌って行き「何これ? 理解不能!」なんての、よくあるパターンですよね。
で、まぁ…そこまではなるべく行かないよう続編を作ってみようと思っています。

まず、「iRealって何」って「何?」 というかたは、以前の連載の目次からご興味あるところだけでもご一読ください。
iRealって何:第1回 コード譜としてのiReal
iRealって何:第2回 アプリとしてのiReal
iRealって何:第3回 コード譜を作る
iRealって何:第4回 コード譜を作る(続き)
iRealって何:第5回 コード譜を共有する
iRealって何:第6回 いろいろと連携する
iRealって何:最終回 Logic連携

で、今回の「(続)iRealって何」ですが、今の所は下記の目次を予定しています。
(続)iRealって何:第1回 iRealフォーラムって何?
(続)iRealって何:第2回 フォーラムで交流してみる
(続)iRealって何:第3回 iReal以外で使っている音楽アプリ
(続)iRealって何:最終回 ライブやリハで使うには?

第4回まで続けることができるか、さらにその続きを書き続けるかはいま時点では自分でも分かっていませんが、まずはキッカケ計画、後は走りながら考えるという「いつものパターン」で、ボチボチと書き始めることにします。

では第1回をお楽しみに。

68年ストラトのピックアップ交換(検証編)

ギタリストって、他のパート以上に音作りをマニアックに追求する人って多めですよね。まぁ、私もその一人なのでしょうが。

 パーツを取り付けて音が出たら、そこからが長い旅のスタートです。とりあえずは、自宅の練習用アンプもどき(SUNSAMP FLY RIGとZoom MS50経由でFostexのモニターに繋いだだけの簡易セット)で音を出します。が、何だか最初から「違和感がない音」が出てきてビックリ。もちろん、最初はピックアップの高さもバラバラなのでその調整からですが、その時点で聴き慣れた音なんです。厳密にはハイが少しおとなしめで、カチッとした音かな?という感もあるものの、高さを調整をしながらいろいろ弾いてみてもとても自然です。

 そして、一通りの高さ調整を終えた後、色々と検証をしていきます。まず、これまでの回路で録音していた音源があるのに気づいたので、その比較実験を開始します。録音していた曲は、The VenturesのYellow Jackets。アレンジなどの出来がイマイチだったので公開しないまま放置していたものです(実は、そういう「ボツ録音」は結構な数あるのですが、たまたまこの曲だけ、珍しくFenderで演奏していました)。

 で、録音してみる明らかに高音が落ちています。ただ、その原因は単純ミスで、繋いでいたギター・ケーブルにありました。練習では、シールドが絡まなくて便利なのでProvidence社のカールコードを使っていますが、この手のケーブルはデメリットとして高域成分など音質が劣化しています。そこで、ライブで使っているケーブルに取り替えて音質の変化をチェック。結果、最近愛用しているモガミ社のケーブルが一番しっくりきました。ピックアップから、パソコンに取り込むまでの機材は下記の通りです。

  1. ピックアップ→ボリューム配線材:Western Electric 20GA
  2. ボリューム→出力ジャック配線材:Western Electric 22GA
  3. ギター出力→オーディオインターフェース:MOGAMI 2434
  4. オーディオインターフェース:ONYX BlackJack
  5. パソコン:Apple iMAc
  6. 取込アプリ:Logic Pro X

Logic画面 この構成で録音してみたところ、私レベルの耳では「同じギターの別テイク」位にしか聴こえません。なので、曲の一部を1小節毎に分割して写真のように交互に弾くよう編集しました。そこまですると、耳をすまして聴けば、演奏の所々で「あっ、これ新品の方だ!」と感じられる箇所を見つける事が可能となりました。でも、そこまでやってその程度の違いなんです。マグネットもコイルもケーブル類も「全部新品に入れ替わっている」のにです。確かに、トモ藤田さんが言われるように「ヴィンテージのピックアップを本当に理解されて新しいパーツであの音を作られるのが世界中で岸本さんだけです。」はホント実感しました。この絵の部分の音って、こんなのです。小節毎に新旧のピックアップが切り替わってるの判りますか?

 音が硬いのは、取り付けて未だ2日目であり、グリニングドッグの岸本さん曰くも「ワイヤーが馴染むまで多少時間が掛かるかもしれません…」とのことで、ギターピックアップもスピーカーやイヤホンと同様に「エージング」で化けるかもです。考えてみればマグネットにコイルを巻いて、音の振動を伝える点では同じですものね。また、バンドで大きな音を出してみないと判らない部分も多々あるかと思われます。バンドのリハーサルやライブを経て、結果をまた後日に検証していきたいと考えています。

ではまた。

68年ストラトのピックアップ交換(組込編)

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 まずはストラトのピックガードを剥がしてみます。改めて構造をよく見ると、ビンテージワイヤでの配線や無駄無いハンダ付けがとても素敵! 一方で、剥がしたあとのボディ内部は、暫く手入れしていなかったので汚れやゴミ、ポールピースのサビなどが気になります。そこで、今更ながら「ご苦労さん」とボディやピックガードの掃除をひとしきり。
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 その後、Vanzandtに付いていたピックガードにパーツを仮ドメを始めたところでグリニングドッグさんから「L 60s Style」のピックアップセットが届きます。ポールピースやボビンの形状は同じですが全て新しいもの。しかし、それに付いているオプションのウエスタン・エレクトリックのワイヤがとても素敵!

で、これを見て急遽の方針変更「その1」が発生。配線用のワイヤも購入したベルデンを急遽止めてウエスタン・エレクトリックのビンテージワイヤを色々探して入手して交換。ストラトの内部配線はVanzandtで経験していましたが、内部はかなりのキツキツ配線。柔軟性に少し難もあるビンテージケーブルは少しのトラブルがあったものの、何とか再配線を完了しました。
ところが何故かトーンが効きません。作業準備で買っていたテスターで調べていくと、新品で買ったCTSのスイッチポッドに接触不良。仕方ないので、方針変更「その2」としてオリジナル配線通りに組み直して配線を完了できました。ただ、色々と悪戦苦闘したので元々固くて融通の効かないビンテージワイヤーはメロメロ。一通りの通電テストの後、無理やりギターに押し込んでようやく音出しテストを開始します。
続きは検証編にて。

68年ストラトのピックアップ交換(準備編)

使い始めて50年になる私の68年製ストラトキャスター。フレットやナット、ブリッジ、ピックガード等々、多くのパーツを問題が出た都度に入れ替えてきましたが、ピックアップから出力ジャックに至る電気系は購入時からどこも入れ替えせずに使えていました。流石にボリュームポッドは、時々ガリノイズが出ていましたが、これも接点復活剤などで復活させると復旧できていました。

 ただ、ここ数年はピックアップコイルの緩みからかハウリングが酷くなり始め、ピックアップカバーの共振を防ぐ処置をしたり、演奏中にもトーン・ボリュームを弄ったりで何とか逃げていました。でも最近では、3つのピックアップのバランスも崩れてきて、ボリューム・トーン操作も限界に達し、重い腰を上げて根本対策を打つこととしました。
当初に考えていた対策は、以下の3つ。

  1. 新しいピックアップにすべて入れ替える
  2. ピックアップを巻き直す(リワインド)
  3. ピックアップを含浸処理する(ポッティング)

 どれも私の経験したことが無い事で、独りで悩んでいましたが、65年製ストラトの愛用者でもあるトモ藤田さんのYoutubeを見て、グリニングドッグ工房さんを知りそのオーナー・岸本さんにご相談して非常に的確なアドバイスを頂け、1案の「ピックアップの全交換」に挑戦することになりました。岸本さんは、屈指のピックアップビルダーでトモ藤田さん曰く「ヴィンテージのピックアップを本当に理解されて新しいパーツであの音を作られるのが世界中で岸本さんだけです。」とのこと、もちろん68年頃のストラトにも造詣が深く「L 60s Style」というセットを、少し時間が必要ながら作って頂くこととなりました。お値段も、手巻きのピックアップなのにとてもリーズナブルです。

 ピックアップ入手まで時間が出来ると、今迄ストラトで出来ていなかったことを…と妄想は膨らんでいきます。先ずはパーツの入手からと、サウンドハウスさんに諸々発注。比較的目立つピックガードは「いかにも新品」となるのは避けたかったので、Vanzandtのものを流用することとして、替わりにこの子には鼈甲柄のものを選んで交換作業を完了。ピックガードだけの交換なので、すべてのネジ類を剥がして付け替えれば完了ですし音もそのままなのですが、見た目の印象は一変して渋い感じが滲み出てきました。まずは第一段階は大成功!
Vanzandtは色々と改造してきましたが、イメージ的には今回が一番鮮烈でした。詳しくはこちら
 そして、いよいよ本丸のFenderピックアップ組込に。